やまと通信     6月号
                             Vol.49
〜 大脳辺縁系 〜
 
さて、5年前にやまと学院.を始めようと思ったころから、とても関心のあることは、「脳」についてです。10年ぐらい前から、解剖学や先進的な医療機器の発達により、だぶ未知の世界であった「脳」について詳しく分かってきました。
「脳」はもちろん人間の活動のすべてに関わってくるものですが、特に「勉強」というものに大いに関係があるということで、皆さんも関心の深いことだと思います。そこで、今回は『やわらかな脳のつくり方』(吉成真由美・サイエンスライター、もとNHKディレクター・新潮選書・2002)を参考に、今一度どのような勉強、どのような子育てをすることが大切なのかを、「脳」に注目して、考えてみたいと思います。
 
3つの『脳』
 まずは「脳」の簡単な説明を前書(p.10~11)から。
 人間の脳は、大きく分けて3つの層からできています。一番古いところが「脳幹(ハ虫類の脳)」、その次が「大脳辺縁系(旧ホ乳類の脳)」、そしてそれを包み込むように一番新しい「大脳新皮質(新ホ乳類の脳)」があります。脳はちょうど松茸のような形をしていて、柄にあたる部分が脳幹、まだ開いていない小さなカサのような形が、大脳辺縁系、そして大きくカサが開いた状態が大脳新皮質です。
(中略) これまでは、人間を人間たらしめているのは理性を司る新皮質の部分であるから、情動や本能を司る大脳辺縁系は、なるべく押さえ込んで、もっぱら新皮質を発達させるための勉強に励むのがよいと考えられていました。
 ところが最近、この考え方が正しくないということがわかってきました。重要なのは大脳辺縁系と新皮質の部分がよく連絡を取り合うことで、この連絡網の発達している人が、最もよく新皮質を活用できるのであって、新皮質だけではほとんど何の役にも立たないというです。(以上)
 
 現在の高校、大学受験は、英、国、数、理、社ですが、これらはおもにこの新皮質をいかに鍛えてきたかを試すものです。しかし、最近の脳科学などの結果から、これらの知識や能力、つまり新皮質だけを鍛えたのでは、社会に出てからなんの役にも立たないダメ人間になってしまうということです。
 
受験勉強
 そもそも何百年の昔から、なぜ親は子どもたちに嫌がる勉強をさせ、受験というものをさせてきているのでしょうか。それは、ひとえに、その子の将来の幸せを願ってのことだと思うのです。つまり、新皮質を鍛えることは、その子の将来の幸せに繋がる可能性が高いからですね。
 新皮質を鍛えること、すなわち、より多くの記憶をする。より頭の回転を速くする。ある決まりに従って、同じような問題を解決していく。これらはどれをとっても社会に出て必要なことです。つまり、受験勉強の内容も大切なことだと思っていますが、それ以上に、頭を、新皮質を鍛えることは大変大切なことだと思うのです。(ここで、シンプルな疑問が上がると思うのですが、本当に、受験勉強でそういったものが鍛えられるのかということです。これは私が、今、身をもって実感していますが、間違いなく、受験勉強を頑張ることで、記憶力、頭の回転、ルーチンワーク、問題解決能力などがとぎすまされてきています。だから、生徒たちにも、本当に気合いを入れて勉強に取り組んでほしいと思うばかりです。)
 しかし、先にも出てきましたように、単に新皮質を鍛えるだけでは、ダメ人間になります。いかに、新皮質を鍛える一方で、豊かな感情や人を思いやる気持ち。そして、芸術的な感性を磨いてあげられるかが大切ですね。
 また、社会では、そういった能力の持ち主(技術系、事務系人間)が活躍する場が多い一方で、芸術系人間もかなり求められています。
 しかし、今の学校の教育では、そのどちらも育ててあげることは難しいですね。本当に何とかならないかな… ああ、学校がほしいな…


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